FXとは「外国為替証拠金取引」(外国為替保証金取引ともいう)のことである。と、どのサイトにも書いてあります。
教科書的な解説はFX会社などのホームページを参考にしてもらうとして、ここでは実際に注文をしてから決済までどのようなことが行われているのかを書いていきたいと思います。
各個人の資金量やエントリーの手法によって注文数量や注文方法は変わるはずです。
口座に1億円が入っていて1回の注文が500万通貨のデイトレードをする人、10万円の資金で1万通貨をスイングトレードする人。FXの仕組みを知ると同じ業者を使っても同じ結果にならないことが分かります。
FXの仕組みを知ることによって、自分はどの業者を選んで、どのように注文・決済を行えばよいのかが分かるということです。
目次
パターン①(手数料無料の業者)
※FX会社の収益はスプレッドとスワップの一部
顧客が注文をする ⇒ FX会社がインターバンクに注文を出す ⇒ 為替市場(インターバンク市場)
と書くと普通の取引に見えますが、顧客が出す注文の全部をインターバンクに流しているわけではありません。
会社によって違いますが、自分の会社の顧客間で売買が成立する注文は「マリー」といって、その分はインターバンク市場でのカバー取引を行いません。したがって、インターバンク取引にかかる手数料がいりませんのでスプレッド分はFX会社の儲けとなります。はみ出た注文のみインターバンクに流すやり方です。
この会社の場合、スプレッドが狭いと収益が減るため、実際にインターバンクに流す手数料以上の額がスプレッドの数値にならなければ経営は難しいでしょう。ドル円のスプレッドが0.3pips固定といった条件では経営は難しいのではないかと思います。
スワップポイントについては、市場 ⇒ FX会社 ⇒ 顧客の流れ の中でFX会社が手数を取るという形です。
この方法はFX会社としては収益が少ないので、サービスの一貫として仕方なくFX取引を提供している大手の証券会社や銀行系が採用していることが多いようです。
スプレッドが相対取引会社などに比べウソみたいに広いのでコストがバカ高になります。
数pipsから十数pipsを積み上げていくデイトレなどで利用すると間違いなくスプレッド負けします。
パターン②(手数料無料の業者)
※FX会社の収益はスプレッドとスワップの一部と顧客の負け
顧客が注文をする ⇒ FX会社がインターバンクに注文を出す ・・・ 為替市場(インターバンク市場)
今でも多数存在すると思いますが、昔の業者のほとんどがこれでした。
つまり、顧客の注文のほとんどをインターバンクへは流さずに自分の会社で呑んでしまうのです。
顧客間の「マリー」ではなく、顧客⇒FX会社間の「マリー」行為です。
なぜそのようなことをするのか?
それは儲かるからです。
FXや株取引は9割の人が負けると言われています。
つまり、FX会社が注文している人と「相対取引」(市場を介さずに売買の当事者同士で売買を行う方法)を行えば、相手が負けた分が自分の儲けとなり、相手が勝った分が自分の損となるからです。
9割の人が負けるので、わざわざインターバンクへ流して儲けを減らすより自分の会社で呑んでおけば顧客が勝手に負けてくれて自分の利益になるという仕組みです。
1年以内にほとんどの一般顧客が資金を無くし退場してしまうので、色々なキャンペーンをやり続けて新規の顧客を増やしていかなければいけないわけです。
しかし、一概にこういった業者が悪いわけではありません。
スプレッドが狭いので、パターン③に出てくるインターバンク直結業者やパターン①の業者にくらべ取引コストが格段に安くなります。
しかも呑んでいるので、指標発表時などインターバンク直結業者では約定しない場面でも注文すれば約定します。
問題なのは、どう考えても無理な低スプレッドをうたっているため、その分怪しいレート操作や意図的に約定価格をスリップさせたりストップ狩りを行うなど、不透明な取引が発生する可能性があるということです。
さらに、利益を出し続けている顧客は、会社が損失を出し続けることになるので、色々な規約違反を持ち出し一方的に口座停止を行います。私も実際に数社口座停止になりました。
パターン③(手数料有料の業者)
※FX会社の収益は手数料とスワップの一部
顧客が注文をする ⇒ FX会社スルー ⇒ 為替市場(インターバンク市場)
最近はやりのインターバンク直結というやつです。
インターバンク直結ですからFX会社は余計なことはせずにそのまま注文をインターバンクへ通します。
手数料が無料の会社はスプレッドに手数料分を乗せており、手数料が有料の会社はそれよりもスプレッドは狭いです。
市場の流動性、相場変動のままにスプレッドが提供されますので常に変動しています。
したがって、価格が大きく変動する時や、早朝など流動性が低い時はスプレッドが大きく開くことがあります。
パターン①やパターン②の業者には株式のような板情報などありませんが、インターバンク直結業者の場合、ツールで現在指値が入っている売り買いのレートと数量を見ることができます。確かな流動性が目に見えるので取引に安心感はあります。
更にインターバンク直結式にはECN方式とSTP方式があります。これについては話が長くなりますのでググってみてください。
インターバンク直結のFX業者は収入源が手数料しかありません。
ですから顧客にどんどん取引をしてもらって手数料を稼がないといけません。
会社によっては月間取引量に応じて手数を割り引いてくれるところもあります。
あるいは月間の最低取引量が決まっていて、それを下回る場合はそれ相当の手数料を支払わなければいけない会社もあります。
パターン②の業者は顧客に損をしてもらわなければ利益になりませんが、インターバンク直結の会社の場合、顧客が儲けても損をしても会社の収益に関係がありません。
ですから、顧客にはなるべく退場してもらわずに継続してたくさんの取引をしてもらえるように、質の高いセミナーなども行っているようです。
まとめ
取引量が少ないトレーダー向けの会社
- 20万通貨未満程度の取引量であればパターン②のスプレッドが非常に狭く、しかも固定としている会社がよい。
- 取引コストは少ないが約定価格のスリップ、ストプ狩りなど不透明な取引がなされる可能性があるので注意する。
- 取引数量が多くなると呑んでいるFX会社は損をするリスクも大きくなるため、そういう顧客だけインターバンクへ注文を通したりしているようだ。そうなるとインターバンク直結方式ではないため、約定に数秒から数十秒かかったりすることも多く、取引量が多いユーザーは危なくて取引できないという理由もある。
- 中にはそういうった怪しい部分がない会社もあるので、複数の会社で口座を開き、どの会社がそうなのか実際に取引して検証してみる。
- 短時間取引(スキャルピング)をする場合は禁止しているところもあるので注意する。
取引量が多いトレーダー向けの会社
- 20万通貨以上で回数も多いトレーダーであればインターバンク直結の会社がよいであろう。当然価格が滑ることもあるがこれには理由がある。
板を見てみると分かるが、同じ価格帯で待っている注文は50万通貨から150万通貨程度である。
ここで50万通貨を一括約定条件の成行きで注文出すと一括での約定が難しく価格をまたいでしまう場合があるからだ。これが滑りとなって表れる。 - 100万通貨や200万通貨を一括で注文したい場合は、一般個人で開ける口座は無いと思った方がよい。
事実上50万通貨以上は大口向けや法人向けの口座でなければ有利に取引できないと思っておいた方がよい。
株がメインのトレーダー
- 株がメインのトレーダー向けは大手証券会社系のFX会社。スプレッドが広くコストは高くつくが、株式口座間での振替えなど株式と同時運用するのであれば自由度が高い。デイトレには向かないが中長期スイングであれば取引コストも気にならない程度。コストより株⇔FX間の資金の移動に時間がかかるほうがリスクが高い。
コメント
今日このサイトと出会いました。たくさんの有益な情報、ありがたく読んでいます。当方100万通貨で取引をしています。始めて数年で、収支はトントンです。何社かで取引してみましたが、スリッページを幅広く許容するとことごとく滑り、スリッページを許容しないとなかなか約定しません。マネーパートナーズ(滑りませんがスプレッドが広く、他社より薄利になります)、楽天FX、c-nexを使用してみましたがいまいちどれもしっくりきません。日本時間のみ、ドル円のみのデイトレードです。指標時などは狙っていないのに普通に滑ります。おすすめの会社はありますか。ご自身はどこを使っていますか。
コメントありがとうございます。かずゆきです。
さっそくですがご質問の回答です。
(あくまで私見です)
結論から申しますと、
・呑んでくれる会社で取引する。
・1回あたりの注文のロットを小さくする。(20万通貨から50万通貨を複数注文して対策されるかどうか様子をみる)
・実際に取引しながら対策されたら会社を変更する。
・録画ソフトでストリーミング注文する場面を録画し、実際にどれくらい滑っているか確認する。
滑らないFX会社となると、結果的に呑んでもらえる会社ということになります。
私は去年までに海外も含めて60口座ほど開設しました。
全ての会社で取引した結果、次のように感じられます。
まず大きく2パターンに分かれます。
・呑んでいる口座
・インターバンク直結の口座
呑まれている口座を使用して利益を出し続けると、おおむね次の2パターンの対応になります。
1.一方的に新規建玉制限、または口座停止される。
2.何の連絡もなく個別に対策される。(自分の口座だけインターバンクに流される → 約定までものすごく時間がかかる)
(某会社は注文から約定まで通常で30秒、指標時は20分というのがありました)
こうなると会社を変えるしかありません。
収支マイナスかトントンであればスプレッドが狭く手数料無料の会社でも概ね満足に利用できるはずですが、ロットが大きくなると話は別です。
私の場合、20万通貨までは何事もなく利用できていいましたが、大してして勝っていなくても100万通貨でやり始めて個別対策された口座もあります。
また、スプレッドは狭くても逆指注文だけ必ず0.1pips滑る会社もありました。(結構大手です)
どれくらいの通貨で対策されるかは、実際に取引してみなければわかりません。
インターバンク直結の会社はスプレッドが広く手数料が必要な所も多いので取引回数が多いと不向きです。
また注文は入りますが滑る時もありますし、滑らない時もあります。
実際にc-nexに問い合わせたこともありますが「板の厚さで状況は変わりますし、大口で成行き注文されると板では見えないので、注文が食われると結果的に滑ることになります」と言われましたが本当のことでしょう。
私はAG-デスクトップレコーダーというフリーソフトを使用して画面を録画しています。
ストリーミング注文時を録画すると、実際にクリックしたレートパネルの価格と約定した価格の違いがはっきりわかるので大変よいです。
私は現在、J●Xを使用しています。時々「あれっ?」ということもありますが、今のところ問題はありません。
押した時と約定のレートが違う時も多々ありますが、これはレートパネルの価格変動が激しいので、実際にクリックしてサーバーに届くまでに価格が変動してしまったという感じです。有利な方向に約定することもあるのでそうだと思います。3秒くらい考えて約定する時もありますが頻繁ではありません。許容範囲でなくなればまた違う会社に乗換えます。
ほかにもスプレッドが狭い国内大手は概ね問題なく利用できていましたが、ことごとく口座停止もしくは対策されたような動作になってしい、現在に至っております。
お勧めはありませんが、お勧めでないところはたくさんあります。
まずは一回の取引数量を小さくして複数注文に切り替えてみてはどうでしょうか?
今まで滑っていたのが滑らなくなる可能性もありますし、小さくしても滑る場合は何らかの対策がされていると思われますので、スプが狭い他社に乗り換え、20万通貨あたりから約定の状況を確認してみることです。
かずゆきさんお忙しい中心のこもったご回答をありがとうございます。かずゆきさんも苦労なさっているのですね・・・私はかずゆきさんと違って収支トントンなのでそこまでその会社にとって不利益な客ではないと思うのですが、逆指注文などは滑らない時の方が少ないです。ずっと知らずに運用していて、自分の感覚と実際の利の増え方に乖離があったので、ふと注文履歴を見てみて愕然とし、それからいろいろと調べて今日に至っています。AG-デスクトップレコーダー使ってみます。教えてくださってありがとうございます。私も一回当たりのロットが大きいかと2つに分けてみたりしていましたが、2つではまだ大きかったのかもしれません。もっと細かく分けて、今までと比較してみたいと思います。かずゆきさんのサイトとても奥深いです。何度も読んで学ばせていただきたいと思います。
水上さん、コメントありがとうございます。
私のブログみて「何言ってるんだか全然解らない」という人は、まだまだ取引の経験が浅く、基本的な知識も身についていない可能性があります。
しかし水上さんの場合は年間収支もトントンとのことであり、私のブログをみて感じるものがあるようですので、安定した収益をあげるようになるまでもう目前です。成長曲線でいうところの最後の伸びにはいる時期だとお見受けしました。
この壁を抜けると今まで点だった知識や感覚が一気に繋がって線となり、トントンだった収益が一気にプラスに転じる段階に入ります。
そこでも有頂天にならずに謙虚に鍛錬を積むことで安定した収益を継続的に得ることができるようになります。
今からも有益な情報を発信していこうと思いますので、今後ともよろしくお願いします。