あなたはピンポイントに最も理想的な場所でエントリーしようとしていませんか?
しかも理想的な場所でエントリーするのですから、ポジションの量は資金管理的にもMAXではありませんか?
理想的な場所でエントリーしたいのは当然のことですし、エントリーできればそれ以外に理想の場所がないのですからポジションの量もMAXになるのは当然です。
しかし、よく考えてみてください。
そのエントリーポイントは自分が勝手に理想と思っているだけで、その後も相場が自分の想定通りに動いてくれるのでしょうか?
自分が「最高のエントリーポントだ!」と思ってエントリーしても、全く逆に動いてしまったことはありませんか?
しかも、「理想のエントリーポイント」と「自分が描いた理想のシナリオ」に固執してしまい、逆行しているにもかかわらず損切りできないなんてことはありませんか?
そして、その繰り返しから「更なる理想のエントリーポント」を模索し続け、結局躊躇してしまいエントリーできなくなってしまう、の繰り返し。。。
結論からいうと、最高のエントリーポイントはいくら探しても、エントリー時には分かりません。
結果的にチャートを後で見てみると良い場所だったというだけで、エントリーする時には絶対に分かりません。
それが分かるのであれば、天底で売買できるということであり、それができないのは皆さんもよくお分かりだと思います。
天底は後でみるからそうであって、その時点では絶対にわからないのです。
ですから、自分のルールのエントリーポイントがきたらエントリーする。そして、それが間違っていたら早めに損切りする。
これ以外に方法はないのです。
ただ、そのポイントにきても「損切りになるかもしれない」恐怖からエントリーを躊躇してしまう精神状態に陥りやすい場合は、「分割エントリー(計画ナンピン)」が有効な手段となります。
また、決済時にも「もっと儲けたい」という欲から決済を躊躇し、結果的に利を削ってしまう場合は、「分割決済」が有効な手段となります。
私はスキャルパーなので「ピラミッディング」は行いませんが、節目から節目を狙うようなデイトレ、スイングトレードには「ピラミッディング」も有効です。
分割エントリー(計画ナンピン)・分割決済の方法
USD/JPY 5分足を使ってレンジトレードの例を説明します。
画像の右端で次のローソク足が見えないようにして、実践に近いトレード例にしてみました。
直近では高値を付けたあと下降し、荒めに揉んで底値を付けた後にレンジへ移行しています。
狭い幅ですが上下にサポレジラインを引くことができます。
この5分足の狭いレンジを抜けても日足の高値安値を抜けるような場面ではないので、ブレークアウトして強いトレンドが発生する可能性は低いと判断し、戦略としては、SRライン際での逆張りを狙うことにします。
今回の場合はレジスタンスラインで反転してサポートに向かっている途中ですので、サポートライン際で買いエントリーを狙います。
実際に総資金100万円と仮定して計画ナンピンでトレードしてみましょう。
① リスク(損切り)の金額を決める
まず、損切りした時の損失金額を決めます。
今回は許容損失額を総資金額の1%とするので、100万円×1%=1万円に設定します。
最大許容損失額の決め方は「最大許容損失額を決めていますか?だからコツコツドカンなのです」の記事で説明していますので、こちらを参考にしてください。
② 損切りラインを決める
損切りラインはエントリーを狙っているサポートラインのすぐ下のサポートライン付近にします。
画像では更に下にローソク足が突っ込んでいますが、これは損切りが入ったオーバーシュートとみて実際に反転しているラインに設定します。
損切りラインを遠くすればするほど損切りにあう可能性は下がります。しかし、すでに損失金額が1万円と決まっているのでエントリーできるロット数が下がるだけで、利確した時の利益も少なくなります。
今回はレンジ幅も小さく狙える値幅も小さいのでリスクを取って損切り幅は小さくします。
③ エントリーの分割数を決める
エントリーの分割数は何回でもよいですが、多くなればなるほど取引コスト(スプレッド)も増え、1回あたりの取引量も減ってしまって非効率なトレードになってしまいます。
デイトレやスキャルピングの逆張りナンピンの場合はレスキューオペレーションの意味合いが強いので、2回程度がよいと思います。
分割エントリーは、エントリーポントが来た!と思っても、欲と恐怖で一括エントリーに躊躇してしまうことを解消することが目的です。
少し不安ながらもエントリーポイントがきたらとりあえず1/2ポジションを持ってみる。
そのまま順行していけばそれでOKですし、逆行してしまったら残りの1/2ポジションを取って最善を尽くす。
完璧なエントリーはエントリーする時には完璧かどうかはわかりません。
完璧を目指さずに最善を目指すことを目的とします。
分割数が増えてしまうと目的が変わってしまうので注意が必要です。
レスキューを想定して常時分割エントリーをする場合、レスキューの必要がなかった場合の利益が、一括エントリーの場合の分割数になることも理解する必要があります。
私のトレード結果を分析してみると、約67%はレスキュー無しに決済しています。
67%がレスキュー無しならば全て一括エントリーした方が成績がよさそうですが、全て一括エントリーしていた場合をシミュレーションしてみると損切りの回数・金額とも分割エントリーの時よりも多くなり、結果、レスキューを想定して最初は半分の取引量で入った方がパフォーマンスがよいことが分かっています。
今回は分割数2回でトレードをプランします。
④ エントリーポイントを決める
1回目と2回目のエントリーポイントを決めます。
1回目のエントリーポイントは、レンジ下限とします。
一括エントリーの場合、ここでエントリーしたいけれども下に抜けると怖いと思ってしまい躊躇してしまうポイントです。
しかし、2回に分割してエントリーすることで1回目のポジション量も一括エントリーに比べて小さくなり、とりあえずエントリーしてみることができます。
1回目のエントリーで反発しなかった時は2回目のエントリーを行います。
2回目のエントリーは1回目のエントリーポイントと損切りラインの中間にします。
⑤ 1回目と2回目のポジション量を決める
今回の損切りの金額は10,000円と決めています。
分割数は2で、今回は1回目と2回目のポジション量は同じとします。
1回目のエントリーポイントから損切りラインまでは10pipsです。
2回目のエントリーポイントから損切りラインまでは5pispです。
損切りになった時はトータルで-15pipsになります。
10,000円÷15≒666円
つまり1pipsあたり666円の損失が出せるということなので、1ポジションあたりのロット数は≒66,600通貨となります。
1,000通貨でエントリーできないFX会社もあるので、今回は1ポジションあたり60,000通貨とします。
損切りになった場合、1回目のエントリーで60,000通貨 × -10pips = -6,000円。
2回目のエントリーが60,000通貨 × -5pip= -3,000円。
トータルでマイナス9,000円の損失となり、最大許容損失額に収めることができます。
⑥ 利確の目標を立てる
一括エントリーの場合、レンジ上限で利益確定した後にレンジを上抜けてしまうと、利が伸ばせなかった悔しさを味わうことになります。
しかし、レンジ上限に達したにもかかわらず、利を伸ばそうと利確を我慢していると反転してしまい、利食い損ねてしまったりします。
その問題を解決する方法が分割決済です。
利確の第一目標をレンジ上限とし、第二目標はその上のレジスタンスラインにします。
ナンピンがなく1回目のエントリーのみで順行していった場合は第一目標のレンジ上限で利確することにします。
ポジション量も半分なので一括エントリー時に比べると利益が半分になりますが、今までの2,000回以上の取引記録の分析結果では、このやり方のほうがトータルの利益が出ていることを考えて納得し、結果を受け入れることにするのです。
計画ナンピンと分割エントリーでストレスが少なく利益が積み上がっていくことが理解できると、利確の後に伸びていっても、損切りの後に戻っていっても感情のブレが少なくなっていることが解ってきます。
⑦ 今回のトレード結果
まず予定通りレンジ下限のラインタッチで1回目のエントリーをしました。
しかし、反転することなくサポートラインを割ってしまいました。
教科書通りならばレンジ戦略のエントリー根拠が崩れてしまったので損切りをするところですが、5分足の狭いレンジを割れただけで、日足の安値割れでもなく、下にはまだ直近の安値サポートも存在しているので損切りなどする場面ではありません。
フルロットでのスキャルピングなどでは逃げないといけませんが、今回は資金管理もしっかり考えて2分割エントリーを計画しているので慌てずに2回目のエントリーも計画通りに実行します。
結果的に1回目のエントリーは予定通りにレンジ上限で利食い(+10pips)。2回目のエントリーも予定通りに上のレジスタンスで利食い(+20pips)することができました。
その後反転下落となっており、再度レンジ下限でのエントリーを検討してもよい場面です。
その日すでに利益が積み上がっているのであれば、レンジ上限からの2分割売りエントリーも怖がらずに積極的に仕掛けていく場面です。
今回のようなレンジ上限下限での振るい落としやオーバーシュートは日常茶飯事なので、ラインを割ったからと慌てることなく分割エントリー・分割決済をうまく利用していけば騙しに翻弄されずにトレードすることができます。
トレンドが発生して損切りになったとしても資金管理上全く問題がないので、怖がらずに次々にエントリーを繰り返すことができるのです。
今回は6万通貨 × 30pips= 18,000円の利益となりました。
レンジ下限からレンジ上限までを10万通貨リスク10pips(-1万円)の一括エントリーでトレードした場合、
10万通貨 × 10pips = 10,000円の利益で終わっています。
10万通貨の場合、損切り金額が10,000円なので損切りラインを-10pipsより広げることができません。
20万通貨で損切りラインを5pipsでもトレードできますが、今回の場合は損切りになっています。
先に損切り金額を最大許容損失額から計算する。そして損切りラインを決める。それからロットを決めていくのが分割エントリーのポイントです。
まとめ
- 分割エントリー・分割決済はストレス軽減につながる。
- エントリーや決済を躊躇することが少なくなる。
- リスクの金額→損切りライン→分割数→ロット数の順序で決める。
- 資金管理はしっかりとやる。
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