FXでの両建ての考え方

両建て トレード手法

両建てとは「買い」と「売り」のポジションを同時に保有することです。

メリット・デメリット、両方あると思いますが、私は両建てをしません。

その理由は、

コストが2倍かかる

至極当然ではありますが、両建てをするとコストが2倍になります。
両建てを肯定する場合はコストが2倍かかってでも、それを上回る何かがなければいけません。

例えば、とりあえず含み損や含み益を固定化することで、その後相場の上下に惑わされることがなくなり精神的に楽になる。
などです。

精神的に楽になりたい気持ちは理解できますが、利益を出すためにトレードをしているのに、自分のメンタルの都合でコストを2倍かけて利益を削る手法は合理的ではありません。

特にスキャルピングはコストとの闘いでもあり、0.1pipsでも少ない手数料の業者を選び、0.1pipsの利益にも敏感であるところに優位性があるわけで、両建てでコストを2倍かけても、それ以上に何のリターンがあるのかが全く思いつきません。

また、ほとんどの業者では両建てした場合はスワップ金利がマイナスであり、両建てのまま翌日に持ち越して保有し続けると、何もしなくてもコストが増え続けることになります。

取引が複雑になる

まず、どういう条件の時に両建てするかをルール化する必要があります。

なぜ単純に決済するのではなく、持っているポジションの反対のポジションを持たなければならないのか?

これは利が乗っている場合の両建てでも値洗いがマイナスの場合の両建てでも同じです。

利が乗っている場合は、単純に利確ではダメなのか?
利確のルール通りに利確してはダメなのか?

値洗いマイナスの場合は、単純に損切りではダメなのか?
損切りのルール通りに損切りしてはだめなのか?

そして、両建てしたあとは、当然ですが両建てを外すか、あるいは同時に決済する必要があります。

両建てした後に同時に「買玉」「売玉」を決済する場合は単純に片建てに比べてコストが2倍かかるだけです。

両建てを同時決済するならば、両建しようと思ったときに単純に決済したほうが、両建てしたときと損益も変わらずにコストが半分で済むことになります。
(マイナススワップ金利があればコストは半分以下)

両建ての「買玉」と「売玉」を別々に決済する場合は、いつどのような条件の時に「買玉」を決済して、いつどのような条件の時に「売玉」を決済するのかを決めなければいけません。

そして、その条件は片建て時の売買ルール(売買条件)と何がどう違うのか?

その両建て決済ルールに優位性があるのか?

を、検証しなければいけませんが、どう考えてもルールが複雑になったうえに単純決済より優位性があるルールになるようには思えません。

単純な損切りや利確よりもリスクが増える

両建ては、単純決済したときに比べて決済しなければならないポジションが増えるので、決済するときに損になるリスクも増えることになります。

結局は単純な片建てトレードのポジションを増やしていることになるので、決済するときに利益がでるかもしれないし損になるかもしれない確率は、片建てトレードの時と同じになります。

これに両建てだからという優位性は全くなく、単純にポジションが増えていると認識する必要があります。

つまり、両建ては無駄にリスクをとっていることになるのです。

また保有時間が長くなると機会損失というリスクを負うことにもなります。

両建てしていなければ何度も普通にトレードできていたのに、両建てポジションを持っているためにトレードができない。

これはナンピンしてお祈りしている状態とほぼ同じで、トレード機会の損失は実質的に損をしているのと同じです。

トレーダーはトレードの回数をこなしてトータルで利益を出すことに集中するべきで、損益が変化しない状態をコストをかけて持続する行為はリスクをとっているだけでトレードとはいえません。

両建て中でも強制決済は十分あり得る

2019年1月3日に起こったフラッシュクラッシュは記憶に新しい出来ことです。

この日に私のトレード仲間で大きく損が出た人は、海外業者でドル円を両建てしているトレーダーでした。

一部の海外業者では買スワップポイントと売スワップポイントの両方がプラスの業者があります。

つまり両建てしておけば買ポジションにもプラスのスワップポイントが付与され、売りポジションにもプラスのスワップポイントが付与されるので、何もしなくても口座残高が増え続けていくことになるのです。

「何もなければ」ですね。

実際に今までは何もなかったのでレバレッジ1000倍で両建てしておけば、相場が動いても損することなく最大限に資金を運用することができていたようです。

しかし、1月3日にそれが起きてしまいました。

フラッシュクラッシュが起きた時にドル円のスプレッドが140pips以上開いたようです。

指標発表時のスプレッドの開きでも耐えうるように 資金管理もしっかりしていたようですが、さすがに100pips以上の開きには耐えることができずにマージンコールになったそうです。

レバレッジも最高にかけていたので当然口座は全損でゼロに。

この業者は他の業者に比べてもスプレッドの開きが大きかったようで、個人ごとでもスプレッドの開きが違ったようです。

つまり売り買いのスワップがどちらもプラスという本来ではあり得ない仕様で客に両建てをさせて、スプレッドの開きで全損させるという業者の罠にまんまとひっかかってしまったということです。

「両建てだから損益は固定できている」という固定観念は捨てたほうがよさそうです。

完全に損益を固定するには「安心できる国内業者でノーポジション」ということになり、ポジションを持っている限り、あるいは、安心できない業者に入金している限り損をするリスクは存在するということを忘れてはいけません。

まとめ

・両建ては余分なコストがかかる。
・コストに見合うリターンがない。
・ルールが複雑になり、実質的に合理性はない。
・単純に精神的な苦痛を逃れるために両建てを行うことが多い。
・それに何の優位性もない。
・両建てはリスクが増えるだけである。
・両建ては機会損失につながる。
・両建てしているから安心ではない。

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