FXの手法(トレードルール)はこうやって決める!手順が大事です

トレード手法

通常、手法というとエントリー時のタイミングをとる手段と思われがちですが、私は資金管理、エントリー、エグジット、記録、までを手法(マイルール)としています。

資金総額に対していくらの金額をリスクに晒し、どういう条件の時にエントリーして、どういう条件の時に損切りし、どうなった時に利入れをするのか。そして、どういう記録を取るのか。

資金管理と記録のルールは簡単に決まりますが、やはりエントリー(エグジット)ルールについてはかなり時間がかかりますし、作れたとしても検証と改善の繰返しということになりますから、ここでは基本となるエントリー(エグジット)ルールをどういった順序で作っていくかを説明していきます。

作業手順

自分にあったトレードスタイル(保有期間)を決める

まずは自分に合ったトレードスタイルを見つけなければなりません。どのトレードスタイルが合うかは各個人の性格や生活環境によるところが大きく、各スタイルを試しながら一番ストレスが少なく成績がよいスタイルを見つけるしかありません。

それにはデモトレードを使って、スキャルピングからスイングまで実際に試してみる必要があります。

しかし、まだ手法が決まっていないのですから「試せない」という自分に対する言い訳から、この手順を省く人が非常に多いようです。

そして、デモトレードで全てのトレードスタイルをテストしないままリアルトレードを行ってしまうので上手くいかないのです。

まずは何でもよいので簡単なルールを決めましょう。
移動平均線のMA5とMA25ゴールデンクロス、デッドクロスでエントリーでもよいですし、RSI70で売り、RSI30で買いでもよいです。

とにかく必ず守れそうな簡単なルールを決めて、スキャルピングからスイングまで最低20回のトレードを行い全てのトレード記録を取ります。

この20回というところが大切です。
なぜ大切なのかは「トレードメンタル」で説明しますが、理由はともあれ何も考えずに全てのスタイルで20回トレードを行います。

具体的には1分足、5分足、15分足、1時間足、4時間足の各時間足で20回ずつ行います。

そして、トレード記録を分析して一番ルールに従えた時間足、一番ストレスがなかった時間足を見つけます。

あくまで自分に合ったトレードスタイルを見つけるのが目的ですから、テスト期間中の損益は関係ありません。自分の感情の記録をよく分析するようにしてください。

「ストレスなくルールに従えた」というところが重要です。

時間がかかるので焦る気持ちも出てきますが、FXで利益を出そうと思うのであれば、全ての段階で妥協は許されません。

順張り、逆張り、ブレークアウトを決める

日本人は逆張りが好きだと言われます。
確かに価格がどんどん上がっていくと割高感から「もうこれ以上は上がらないだろう」という気持ちから安易に売ったりします。

では逆張りでは勝てないかというとそんなことはありません。
しっかりと検証して優位性が確認できれば逆張りでも勝てます。

最終的には「順張り(押目買い・戻売り)」、「逆張り」、「ブレークアウト」の全ての手法を確立した方がその時の相場に合わせた取引は可能になりますが、安定して勝てているトレーダーで全ての手法を使いこなしている人が少ないことを考えると、やはり得意な手法を極めていくのがFXで成功する近道になるようです。

しかし、最初のうちはどのスタイルが自分に合っているか分からないため、全てのスタイルを模索する必要があります。

一般的には「順張り(押目買い・戻売り)」が一番習得しやすいとされているので、まずは「順張り(押目買い・戻売り)」から取りかかりましょう。

エントリーポイントを探る(ひらめき)

チャートは人によって見えるポイントが違います。

同じチャートを見ても「ここは買いだろう」と思う人もいれば「ここは売りだ!」と思う人もいるのです。

最初のうちは全くピンときませんから、色々な本やサイトを見て試していく必要があります。

結果的に無駄で終わることがたくさん出てきますが、人間は自分で体験した事しか信用できない動物ですので、この経験をするかしないかで後々の成長速度が変わってきます。

この作業を続けていくと、チャートのパターンが記憶されていくので、何となく「ここかな?」という感覚がでてくるようになります。

最終的にはこのエントリーポイントの精度が成績に大きく影響してきますので、時間をかけてじっくりと経験を積む必要があります。

エントリーポイントが全く分からないという人や、他の人がどういったポントでエントリーしているのか気になる人はFX教材を購入して成功している人のモデリングをすることも有効です。

しかし、FX商材のほとんどは書籍に書かれていたり、検索すればサイトで見つけることができる情報ばかりなので、完全に信用せずに購入後も自分で検証することが重要です。

損切りポイントと利入れポイントを決める

エントリーポイントが見つかったら次に損切りポントと利入れのポイントを決めます。

これは勝率とリスクリワードが関係してきますが、まずは一般的な手法に多い勝率50%、リスクリワード1:2あたりを目指すことにします。

エグジットのポイントを決める方法としては次の3つがあります。

1.数値で決める(pips)
2.サポート・レジスタンスラインで決める
3.時間で決める

最初のうちは重要なサポレジを見つけるスキルもありませんし、ルールを守れるメンタルができていませんから、迷わずに「数値で決める」で行ってください。

ボラが小さいドル円などはリスク10pipsに対してリワード20pipis、ボラが大きいポン円などはリスク30pipsに対してリワード60pipsなどです。

サポレジラインが正確に引けるようになればエグジットポントをサポレジラインにします。

損切りラインまでが遠い時は最大許容損失額を超えないようにポジション量調整するようにします。また、リスクリワードが1:2にならない場合はエントリーを見送ります。

「時間で決める」ときは、エントリー後に思惑通りに価格が上下しなかったものの、損切りラインにも届かない、しかしエントリーの根拠がなくなった時に実行します。

バックテストをする

執行時間軸、エントリー方向、エントリーポイント、エグジットポイントが決まったらバックテストを行います。

バックテストにはForex Tester2を使用します。
私も色々な方法でバックテストを試みましたが、結論からいうと満足できるツールはForex Tester2しかありません。

バックテストを行う時にポジション量は関係ありません。
ここではその手法に優位性があるかないかを確認することが目的なので、テストするポジション量は最少数量でかまいません。

テストするエントリー回数は最低200~300回程度が必要だと思っています。

これは大数の法則が機能する回数は700~1000回程度といわれていますが、私の経験上200~300回程度のテストで優位性が実証できれば、実際のフォワードテストでも期待値がプラスになることが多いからです。

テスト結果をExcelで集計して「勝率、損益比、PF、勝ち平均、負け平均、期待値」を出します。

どれくらいの数値が望ましいかは別の機会に説明しますが、とりあえず期待値がプラスになった場合は、テスト環境が違う年度で再度テストを行います。

これは、レンジ相場の時期とトレンド相場の時期でどれくらいパフォーマンスが違うのかをみるためです。

記録を検証して改善する

実践トレードでもバックテストでも必ず記録を取ります。

人間の記憶と思い込みは全くあてになりません。
客観的に判断するために必ず記録が必要です
客観的なデータでなければ確率でトレードを行うことができません。

トレードで負ける理由はトレードの操作に「感情」が入るからであり、「感情」を入れないためには機械的に継続的に操作する必要があります。

そのためには機械的に継続して行うと利益がでるルールが必要であり、そのルールを作るためには客観的な分析データが必要なのです。

バックテストのデータには「勝率、損益比、PF、勝ち平均、負け平均、期待値」の項目があれば問題ありません。

そして、バックテストデータを分析します。

一番に重要な項目はPF(プロフィットファクター)です。
(プロフィットファクター = 総利益 / 総損失)

PFが2以下の場合は2以上になるように手法を改善する必要があります。

それは勝率かもしれませんし、リスクリワードかもしれません。

とにかく、どこを改善すればPFが2以上になるのか、データを見て改善策を練ります。

再度バックテストと検証を繰り返す

リスクリワードを下げると勝率が上がります。
逆にリスクリワードを上げると勝率が下がります。

最終的にどちらがPFをより改善することができるのか、あるいは、リスクリワードはそのままでエントリーポントを変えた方が改善できるのか、これはテストしてみないとわかりません。

しかし、PFが2以上でなければリアルトレードで安定して勝ち続けることは難しいでしょう。

ですから、PFが2以上になるまでバックテストで検証と改善を繰り返す必要があるのです。

また、バックテストでは24時間トレードすることになりますが、実際の生活環境では24時間トレードすることはできないわけで、バックテストデータからトレードできない時間帯のデータを省いて検証する必要もあります。

小ロットでフォワードテストをする

PFが2以上の手法(ルール)が決まったところで実際に最少ロットで実践トレードを行います。

実際のトレードはバックテストと違ってスプレッドの開き、スリップの発生などがあり、テストデータより悪い数値が出る傾向があり、その他の要素も含めてバックテストのデータとどれくらい違いがあるかを知る必要があります。

また、実際にお金がかかったトレードで、メンタルがどの程度影響するかを知る必要もあります。

完成

この時点で次の項目が決まっていなければなりません。

1.その手法のスペック(勝率、損益比、PF、勝ち平均、負け平均、期待値)
2.執行時間足
3.エントリーの方向とその理由(エントリー条件)
4.ポジションの量(資金管理に基づいているか)
5.エグジットの理由(損切り・利入れの条件)

実際にはエントリーの方向を決めるために、執行時間時足以外に上位時間足の分析(マルチタイムフレーム分析)を行いますが、また次の機会に説明します。

また、実際のエントリールールはもっと複雑で細かい決まりがあったりもしますが、ルールはなるべくシンプルな方がよく、まずは上記の最小限の項目だけでスタートしたほうがよいでしょう。

運用・検証・改善

最初に決めたルールで運用を始めたら、トレード記録とトレード日誌を付けます。

私はトレード記録は数値データを取るために、トレード日誌はチャートのコピーを貼ってエントリーとエグジットの状況を視覚で思い出せるようにするために付けています。

この2つの記録を使って常に検証を行い、常に改善すべきところを探しています。

相場環境は常に変化しており、先週まで使えていた手法も今週使えるかどうかは判りません。

相場の転換期をいち早く察知し、使用すべき手法の選択を間違えないよういにするためにも日々の検証が必要なのです。

ひとつの手法が完成したならば、その精度を上げる改善を行いながら、その手法に合わない相場環境になった時でも参戦できるように、新しい手法へつながるヒントを探し続けなければなりません。

そして、ロットを上げていく訓練が始まるのです。

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